畢竟、悪いのは私なのだろう。
 他の誰でもなく、私の責任なのであろう。彼に惚れてしまった、私の責任。
 貴方との約束を守るために、未だに現世に留まっている、私の。
 然しながら、私には他に術が無かったのだ。
 貴方と私との約束を守るため、私と私との約束を守るため、大人しく素直に、あの世に逝く訳にいかなかったのだ。
 だから、私の責任なのだろう。
 否、私は望んでこうしているのだ。
 望んで、幽霊になって貴方を待っている。
 貴方という異形と接しながらも、幽霊の存在なんて嘘だと思っていた。莫迦莫迦しいと思っていた。
 それでも、約束が私を現世に縛りつけてくれた。私を此処に留めてくれた。
 嗚呼、だって、愛は理屈を超えるのだから。
 もしも、何方か、神様にお会いすることがありましたら、私の代わりに謝っておいてください。
 彼に惚れてしまったことを。
 神様の元に逝くのを、拒んでいることを。